日本の歴史上、ご逝去後は葬儀を行い火葬し遺骨をお墓に埋葬、供養するのが一般的でした。最近は少子高齢化、宗教的な価値観の変化、お墓の継承者問題などから形式にとらわれず、自分らしい葬送を希望される方が増えてきています。
今回はそのうちの一つ、「海洋葬」について調べてみました。
海で囲まれた日本において、認知度が上がってきている葬儀形式の一つです。
海洋葬とは
海洋葬とは、火葬を終えた後の遺骨の一部、又は全部を海に散骨することで、故人を自然の循環の中に回帰していこうとする葬儀方法です。
一般的にはクルーザーを外洋に出し、セレモニー(司会者による故人を弔うための儀式)を行った後に散骨をします。その後、散骨場所周辺をクルージングして終了となります。
一口に海洋葬といっても、葬儀の方法はいくつか種類があります。
一般的にはクルーザーを外洋に出し、セレモニー(司会者による故人を弔うための儀式)を行った後に散骨をします。その後、散骨場所周辺をクルージングして終了となります。
一口に海洋葬といっても、葬儀の方法はいくつか種類があります。
個別散骨
個別散骨は、一つの遺族や知人・友人のみの少人数で船をチャーターし、沖合で散骨を行う葬儀方法です。
他の方法と比べると多少費用は掛かりますが、身内のみで行うので、散骨の日程や時間などを自由に取り決めることができ、当日もゆったりとした雰囲気で故人の好きだった音楽を聴きながら食事をしたり、故人との思い出話をしたりできるのが特徴です。
他の方法と比べると多少費用は掛かりますが、身内のみで行うので、散骨の日程や時間などを自由に取り決めることができ、当日もゆったりとした雰囲気で故人の好きだった音楽を聴きながら食事をしたり、故人との思い出話をしたりできるのが特徴です。
合同散骨
合同散骨は、複数の遺族が一つの船をチャーターし、同じ箇所で散骨を行う葬儀方法です。
複数の遺族が同じ船をチャーターするので、個別散骨と比べると費用は抑えられますが、その分、日時の調整が難しかったり、当日も他の遺族の目が気になってしまう場合もあります。
複数の遺族が同じ船をチャーターするので、個別散骨と比べると費用は抑えられますが、その分、日時の調整が難しかったり、当日も他の遺族の目が気になってしまう場合もあります。
委託散骨
委託散骨は、散骨当日遺族が同船せずにスタッフのみが沖合で散骨を行う葬儀方法です。
船をチャーターしないため、他の方法と比べても費用が大幅に抑えられます。遺族が立ち会えない代わりに、当日の様子をスタッフがカメラで撮影してくれたり、散骨中の様子を電話やビデオカメラなどで伝えてくれるサービスを行なっている業者もあります。業者にもよりますが、当日撮った写真などは後日送られてくる散骨証明書と一緒に送られることがほとんどです。
船をチャーターしないため、他の方法と比べても費用が大幅に抑えられます。遺族が立ち会えない代わりに、当日の様子をスタッフがカメラで撮影してくれたり、散骨中の様子を電話やビデオカメラなどで伝えてくれるサービスを行なっている業者もあります。業者にもよりますが、当日撮った写真などは後日送られてくる散骨証明書と一緒に送られることがほとんどです。
海洋葬のメリット
海洋葬のメリットは、従来の葬儀と比べて費用が安価であることです。
海洋葬は、一般葬と比べても平均の半分以下の費用で葬儀を行うことができます。また、お墓のように永代供養の利用料や年間管理費がかかりませんし、自身の死後、将来的なお墓の行く末を案じることもなくなります。
海洋葬は、一般葬と比べても平均の半分以下の費用で葬儀を行うことができます。また、お墓のように永代供養の利用料や年間管理費がかかりませんし、自身の死後、将来的なお墓の行く末を案じることもなくなります。
故人が自然の源である海に還ることができる
海洋葬は自然を愛する心を持つ方が、死後の葬送方法として選ぶ傾向にあります。
水がすべての起源であるという考えのもと、死後に大自然と一体になれる自然回帰を考えている方々が「墓所で閉じ込められるよりも海に包まれ眠りたい」と願う方が増えているようです。
水がすべての起源であるという考えのもと、死後に大自然と一体になれる自然回帰を考えている方々が「墓所で閉じ込められるよりも海に包まれ眠りたい」と願う方が増えているようです。
墓地や墓石を購入するより費用をかけずに供養ができる
一般的に、お墓というのは一世代のみで完了するものではなく、何世代にも渡って引き継がれていくものです。そのため、お墓を建てるとなると必然的に継承者にも経済的な負担が掛かってしまうのですが、海洋葬の場合は骨を自然に還すため、葬儀後に何か特別な費用が継承者に掛かることはありません。
故人の希望を尊重した供養方法である
散骨することで、故人が好きだった、または思い出の場所へ還してあげることができます。
また、宗旨宗派にこだわらずに葬送することができます。
また、宗旨宗派にこだわらずに葬送することができます。
海洋葬のデメリット・問題点
墓標がないためお参りできない
お墓のような明確な印が残らないため、後で焼香をあげたり、お花を供えることができないといったデメリットがあります。
故人に最後のお別れを言いたい、という人が後日弔問客として訪れたとしても、全てを散骨してしまった場合は拝むものが無いなど、他人とのトラブルに発展してしまう恐れがあります。
故人に最後のお別れを言いたい、という人が後日弔問客として訪れたとしても、全てを散骨してしまった場合は拝むものが無いなど、他人とのトラブルに発展してしまう恐れがあります。
法律により遺骨を粉砕し粉状にしなければ撒くことができない
火葬した遺骨を粉状に粉砕して散骨することがルールです。
自由度が高い葬送方法なのですが、すべてを散骨した場合、遺骨を後世に残すことができません。
自由度が高い葬送方法なのですが、すべてを散骨した場合、遺骨を後世に残すことができません。
遺族にとって「故人=海」という抽象的かつ漠然としたイメージしか残らない可能性もある
「散骨場所」に遺骨がとどまることはありません。
そのため、たとえ故人の希望が「海の一部に還りたい」ということであっても、遺族にとっては「広い海のどこかに故人がいるけれど、散骨場所に故人のかけらはないであろう」という、漠然としたイメージしか残らなくなる可能性があります。
そのため、たとえ故人の希望が「海の一部に還りたい」ということであっても、遺族にとっては「広い海のどこかに故人がいるけれど、散骨場所に故人のかけらはないであろう」という、漠然としたイメージしか残らなくなる可能性があります。
会葬者が限定される
散骨は船上で行うため、限られた人数しか参加できない点もデメリットです。
予定通りに行えない可能性がある
海に散骨するためには、漁場や海上交通の要所・人目のつきやすい海水浴場を避けるため、陸地からかなり離れた場所まで船で移動しなければなりません。海洋葬当日天気が悪いと船が出せないため、予定通りに行うことができない可能性があります。
海洋に骨を撒くのは法律違反?
法律上、散骨を許可できるのは祭祀承継者だけですが、委任状や遺言書などがあれば親族以外の第三者でも祭祀承継者になれます。
また、散骨に対する明確な基準は特に記されておらず、個人が節度を持って行えば問題ないとされています。基本、散骨に許可申請などは必要ありません。ただ、遺骨のまま撒くことはできません。粉状(パウダー状)にした遺骨や遺灰は、土の上や海に撒くことができます。散骨が法に触れる行為ではないとしても、人骨に対する感情は人それぞれです。
海洋葬の場合、漁場や遊泳地域近くで散骨を行うことは風評被害を招くことにつながります。そのため、外洋に出て散骨を行うのが一般的です。また、不法投棄や海洋汚染につながる場合もあるため、散骨時には、少量の酒や花びらなど自然に還る物のみがたむけられます。副葬品は海洋汚染にならないものを選びましょう。
このような事情から、個人で散骨を行うことはせず、海洋葬に関して知識を有した業者に依頼することが大切です。専門業者に依頼する場合は、「火葬証明書のコピー」が必要になることがありますので用意しておきましょう。
また、散骨に対する明確な基準は特に記されておらず、個人が節度を持って行えば問題ないとされています。基本、散骨に許可申請などは必要ありません。ただ、遺骨のまま撒くことはできません。粉状(パウダー状)にした遺骨や遺灰は、土の上や海に撒くことができます。散骨が法に触れる行為ではないとしても、人骨に対する感情は人それぞれです。
海洋葬の場合、漁場や遊泳地域近くで散骨を行うことは風評被害を招くことにつながります。そのため、外洋に出て散骨を行うのが一般的です。また、不法投棄や海洋汚染につながる場合もあるため、散骨時には、少量の酒や花びらなど自然に還る物のみがたむけられます。副葬品は海洋汚染にならないものを選びましょう。
このような事情から、個人で散骨を行うことはせず、海洋葬に関して知識を有した業者に依頼することが大切です。専門業者に依頼する場合は、「火葬証明書のコピー」が必要になることがありますので用意しておきましょう。
まとめ
海洋葬は大好きだった海で眠りたいという故人の遺志を尊重できる葬送方法です。マナーやモラルを守れば、正しい形で故人を見送ることができます。
しかし、散骨は第三者の目に触れにくい外洋に出て行うことが大切です。そのため、海洋葬に対する知識を持ち、国の許可を得て安全に海洋葬を行える業者を選ぶことも大切です。
従来の葬儀を行わず、お墓が無いことを反対する親族も少なくありません。海洋葬を滞りなく行うためには、生前中に意思表示をしっかりしておくことが重要となります。家族が揃っている時に話す、自筆の遺言書やエンディングノートを書いて家族に託すなどは大切な準備となります。
しかし、散骨は第三者の目に触れにくい外洋に出て行うことが大切です。そのため、海洋葬に対する知識を持ち、国の許可を得て安全に海洋葬を行える業者を選ぶことも大切です。
従来の葬儀を行わず、お墓が無いことを反対する親族も少なくありません。海洋葬を滞りなく行うためには、生前中に意思表示をしっかりしておくことが重要となります。家族が揃っている時に話す、自筆の遺言書やエンディングノートを書いて家族に託すなどは大切な準備となります。